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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

帰去来・逆行・饗応夫人・狂言の神・虚構の春・きりぎりす・グッド・バイ・乞食学生・古典風

久々に太宰治の作品を読み始めました。
青空文庫から適当に選んでいるのですが、タイトルを見ただけだと小説なのか随筆なのか、またはその中間に位置するようなものなのかがよくわかりません。
今回読んだ中では「帰去来」が随筆、「狂言の神」「虚構の春」が事実をもとにした創作、「逆行」「饗応夫人」「きりぎりす」「グッド・バイ」「古典風」がほぼ純粋な創作だと思われます。

一番印象に残ったのは、太宰治に届いた手紙を羅列したという形式をとる「虚構の春」です。
事務連絡やファンレター、親類との橋渡し役になっている人物からの苦言、そして友人と思われる文学者からの批評。
本作品の主人公である「太宰治」は、実際の太宰治と同様に故郷の実家と折り合いが悪く、しかも知人に借金を重ねるなど素行もよくないようです。
五所川原で呉服屋を営む山形氏からの手紙には、麻薬や借金漬けの生活を改めるようにという丁重なお願いが記されています。
(「帰去来」のなかで、太宰本人はこの手紙はあくまでも創作であり、山形氏のモデルである中畑氏はこのような手紙を送り付けるような人ではないと釈明しています。)
自分自身の恥ともいえるような事情をここまで公にしてしまうのも作家というのは因果な職業だと思いますが、それだけに凄みを感じます。
そしてそれ以上に印象的なのは、熱狂的なファンからの手紙です。
かなり偏執的な文体で弟子にしてほしいと懇願したり、または精神的に病んでいると思われる人からの長々とした自分語りの文章であったり…。
いまではネットを通じてファンと作家が直接つながることも多くなりましたが、このような手紙を読んでいると引き込まれてしまいそうです。

「帰去来」は、長らく音信を断っていた実家に帰省する話です。
私は太宰の生家である「斜陽館」に行ったことがあるのですが、そこでみた巨大な仏壇が本文に登場していて感慨深かったです。
金木の町は非常に小さく、かつて交通の便が今ほどよくなかった時代においては、世界から取り残されたように感じる場所だったかもしれません。
体面に異常なほどこだわる太宰にとっては、このような狭い世界は性にあわない窮屈な環境だったと思います。

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  1. 2018/02/11(日) 19:31:06|
  2. ★★★★
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  4. | コメント:0

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