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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

中世の秋

ホイジンガといえば、「ホモ・ルーデンス」が有名です。
「賢い人」という意味を持つ「ホモ・サピエンス」に対して、「遊ぶ人」という意味を持つ「ホモ・ルーデンス」。
人間と他の動物を分ける特徴として、一見生きるのには直接役に立たないように見える遊びに夢中になるという点に着目したものです。
私自身は「ホモ・ルーデンス」は読んだことがないので、実際にどのようなことが書かれているかは全くわかりません。
しかし、中高生のころに読んだ複数の本で「ホモ・ルーデンス」の単語に出会っていたので、正確な内容を知らないままなのになんとなく理解したつもりになってしまったものです。
(若かった私にとっては、「遊ぶ人」という切り口がとても斬新に思えたため強烈に印象に残ったのだと思います。)

本書は、ホイジンガのもう一つの有名な著作です。
中世の北部ヨーロッパにおける人々の思考様式について詳しく述べたものです。
騎士道に対する過剰なまでのロマンチックなあこがれ、イエスの特定のエピソードへの陶酔と平常時の不真面目な信仰の両立。
全編にわたって共通するのは、現代から見ると非合理なほど感情的、熱狂的になる中世人の姿です。
対象物に対する深い理解を欠いた状態で、特定の目立つ部分だけをつまみ食いのように熱心に想起する中世の人々は、現代において「にわかファン」として煙たがられる集団を連想しました。
競技の内容には興味を持たずスポーツ選手の容姿ばかりに注目したり、著名な賞をとった難解な文学作品に安易に飛びついて消化しきれなかったり、または史実とは異なる逸話で有名な歴史上の人物に憧れたり…。
具体的な引用をちりばめることで、ホイジンガは「中世」というものの空気を再現しようとしたのだと思います。

ただ、個人的にはホイジンガの言っていることに対する根拠がよくつかめませんでした。
述べられているのは大量の資料を消化した結果得られた中世観であり、全くの思い込みのようには見えません。
しかし、それは単にホイジンガの考えに沿った雰囲気を持った文献を抽出しただけではないかとも見えます。
かなり以前にブローデルの「地中海」を読んだ時にも感じたのですが、当時の人々の考え方を断定的に述べるわりにはその根拠が薄いように思えるのです。
ただ、これは定量的な資料に乏しい歴史学の宿命なのかもしれませんが…。

本書の解説文によると
ホイジンガが求めたのは歴史叙述のわかりやすさと読みやすさ
とのことですが、その割には修辞的な文章が多くて読みやすいとは感じられませんでした。
ひとむかし前の歴史書の多くは、文学と学問の境目にあるような印象を受けます。
不必要にわかりづらく、かつ装飾に満ちた文章。
昔からそうなのですが、やはり私にはこの種の本はあまり相性が良くないのかもしれません。
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  1. 2018/02/01(木) 23:14:52|
  2. ★★★
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