雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

物価上昇率がなかなか政府の目標に達しない理由の一つに、名目賃金が思ったように上がらないということがあるようです。
政府が経済界に対して賃金アップを具体的な数値とともに要求していますが、これは異例の事態です。
本書では、15組の著者により賃金が上がらない(または上がったように見えない)理由について議論されています。

これだけたくさんの著者がいると、普通に思いつくような理由はすべて漏れなく網羅されているといえるでしょう。
著者により着目点は異なっているのですが、編者によりおおまかに論点がまとめられています。
代表的なものを挙げますと、
  • 労働市場の供給変動
    これまで労働市場に参入してこなかった高齢者や女性が働くことにより、人手不足に対するバッファとして働いた。
  • 賃金の下方硬直性が上方硬直性を産み出す
    一度上がった賃金を下げることが困難なために、可能な限り賃金が上がらないような力が働いている。
  • 賃金に対する規制
    急速に求人が増加している介護業界では、診療報酬制度や介護報酬制度により賃金が抑制されている。
  • 就職氷河期世代の賃金停滞
    就職氷河期世代は若年時にOJTを通じた能力開発の機会を奪われたために、現時点で賃金上昇が過去比で停滞している。
いずれも納得のいく内容ですが、とくに最後の就職氷河期に関する記載が興味深かったです。
私はまさに氷河期世代なのですが、幸い私はうまく就職活動を乗り切ることができました。
同世代である程度キャリアを積んだ人が希少なためか、私はどちらかというと転職市場において恩恵を被ったほうです。
私が勤めている会社でも40歳前後の人材が不足していて、常に募集している状態です。
あまりこれまで意識してこなかったのですが、これは裏を返せばキャリア形成から外れてしまった同世代の方々がたくさん存在するということなのですね…。

ややテクニカルな議論や図があるのでこういった議論になれていないとすこし読むのが大変ですが、それでも全体的に理屈だっていて面白いと思いました。
正社員の賃銀は上がっていないにしても、パートタイムの時給は上がりつつあるのでもう少しすればどこかで賃金が上がり始めるのかもしれません。
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  1. 2018/01/15(月) 22:02:42|
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