雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

紀ノ川

古本屋さんで見つけた本です。
私は有吉佐和子について全く何も知らなかったのですが、思ったよりずっと若い世代の人だったので驚きました。
明治末期生まれくらいの人だと勝手に想像していました。

明治、大正、昭和のそれぞれに青春時代を過ごした祖母の花、母の文緒、娘の華子の三世代の女性を描いた物語。
彼女たちの青春時代から子供が生まれ始める時期のみが描かれており、その間の時期は意図的にスキップされています。
おそらくは、嫁と姑や母と子の世代間の衝突を主な題材の一つとしているからだと思われます。
かつては地主として栄えた真谷家は、時代が下るにつれて急速に没落します。
花の時代には大きな名声を誇った長福院の院号も昭和には意味をなさなくなり、華子は大学に通うための費用すら自分で稼がなくてはならなくなります。
その過程で女性としての常識も大きく変化して、世代間で同じ感覚を共有できなくなりました。
とくに大正時代の女性解放運動に傾倒した文緒と花の衝突は強烈で、文緒が見合いを拒否したのちに銀行員と結婚するまでは、和解はほぼ不可能でした。

一方で、初めての子供を無くした後の文緒は性格がやや穏やかになり、若い頃は馬鹿にしていた古い風習やまじないごとも受けいれるようになります。
また、外国で育った華子は花に象徴される日本文化に愛着を持つようになります。
目に見える部分の伝統は失われつつも、根幹部分は共通しているともいえるのかもしれません。
むしろ、「日本古来の」とか言われる風習も実際はそれほど歴史のあるものではなく、実際は変化に変化を重ねたものなのでしょうか。
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  1. 2017/12/29(金) 13:54:25|
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