雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

東京・京都・大阪―よき日古き日

歌人として明治末期から昭和にかけて活躍した吉井勇による、若き日を回顧した随筆集です。
吉井勇は木下杢太郎や石川啄木などと交友が深く、一般における知名度はそれほど高くないですが芸術界では第一級の人物でした。
本書は1954年(昭和29年)の出版ですが、著者がまだ駆け出しの詩人であった明治末期から第二次大戦後までの期間について、様々な人物との交流や芸術作品との出会いについて述べられています。
しかしながら、それらの芸術の多くは詩や狂歌、能、日本舞踊、文楽など、当時と比べて衰退してしまったものばかりです。
まさに古いタイプの文化人による、「よき日古き日」の回顧という様相です。

著者は住まいを転々としているのですが、一時期高知に隠棲していたことがありました。
これは華族出身の妻が不倫サークルの主催者の一人であったという大スキャンダルを起こしてしまい、その結果離婚したことが影響したものです。
本書でも少しだけ高知に住んでいたことは触れられているのですが、さすがにスキャンダルのことは伏せて書かれています。
吉井勇という人物像をある程度知っていたほうが、本書は読んでいてもいろいろ事情が分かって楽しいのだと思います。

私はこの本を古本屋さんで見つけたのですが、失われた街の風情が記されているものだと思って買いました。
しかし、本書のタイトル「東京・京都・大阪」というのはそれぞれの地においてであった人たちという意味であり、それほど街そのものに対する思い入れは感じられませんでした。
(祇園の芸者や花街に関する記述はありますが。)
そして、紹介される人物のほとんどは、私にとっては全く初見の人が多くあまり読んでいてもピンと来なかった印象です。
もう少し芸術に対する素養のある人が読めば、いろいろ思うところはあるのかもしれませんが。
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  1. 2017/12/23(土) 16:35:58|
  2. ★★★
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