雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

アフガニスタンの風

ノーベル賞作家レッシングによる、ソ連軍の侵攻を受けたアフガニスタンを描いたルポです。
レッシング自らが聞いた、アフガニスタンで様々な派閥のムジャヒディーンたちの話や、またイスラム教の教えに従って家庭の奥深くに隠されたままの女性たちの声がつづられています。
ベトナム戦争により多くのベトナム人が犠牲となったことは世界中で知られているのに対し、アフガニスタンで数万人、または10万人もの死者が出たことはあまり知られていません。
ムジャヒディーンたちが声をそろえて言う、西洋諸国は自分たちの苦境を知れば必ず援助してくれるはずだというのが正しいかどうかは疑問ですが、このように一部の宣伝に成功した問題ばかりが大きく取り上げられるという状況は現在でも変わっていません。
レッシングはこのような問題意識の非対称性も指摘しています。

一方、レッシングはムジャヒディーンたちに対しても、とくに女性の扱いについて批判の目を向けます。
高邁な思想や死の危険を顧みず戦う勇気について演説を行うと同時に、妻たちに対して抑圧的な態度をとる男たち。
以下は、レッシングが女性たちに対してインタビューを行っている最中に夫が帰宅してきた時の様子です。
そこへ、突如としてふたりの男、つまり夫たちが姿を現し、雰囲気は一変してしまった。
(中略)
アフガン人にしては背が低くやせぎすで、きびしい陰気な顔つきをしている。
疑い深くていばり散らす。
こわがられた方の夫だ。
そこで女たちは突然姿を消し、ベランダに出たりそのそばで窓の外を眺めたり、狭苦しい台所で料理を始めたりする。
顔もベールですっかりおおってしまった。
(中略)
所有欲が強く腹をたてている看守のごとき夫、好色な目をした夫は、旧い流儀のよい父親でありまたよい夫なのだろう。
女房孝行で、嫉妬深く、性的で、あれこれ要求しながらすべてをつつみこむ夫。
前時代的ながらも、その文化においては理想的とされる男性像は、相当程度女性の側の犠牲により成り立っています。

全体として同じ内容をぐるぐると何度も繰り返すという、英語圏のルポにありがちな冗長さを持った文章です。
私はどちらかというと簡潔な文章のほうが好みなので、ちょっと読んでいて疲れてしまいました。
本書が書かれた1986年当時にはソ連軍の侵攻は永遠に続くかとも思われましたが、実際はその数年後に撤収が完了し、その後は内輪もめを主体とした別種の泥沼が始まります。
ソ連軍に対抗していた間はわかりやすい異人種の敵がいたのですが、今となっては隣人が敵となってしまうという意味において、状況はさらに悪化しているのでしょう。
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  1. 2017/11/24(金) 23:20:46|
  2. ★★★
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