FC2ブログ

雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

コルテス報告書簡

16世紀にアステカを征服したことで有名なエルナン・コルテスによる報告書をまとめたものです。
以前読んだ「征服者と新世界」にもコルテスの第2、第3書簡が納められていたのですが、本書にはこれに加えてメキシコ遠征以前の事情を書いた第1書簡と失敗に終わったホンジュラス遠征について述べた第4書簡が納められています。
コルテスは征服者としてだけでなく事務能力も相当優れていたようで、報告内容は詳細でわかりやすいです。

当時の征服者は新大陸の原住民だけでなく、自らの地位や権益を脅かそうとするヨーロッパ人(スペイン人)とも争わなければなりませんでした。
そのため、力づくで反乱を抑えたり、またはだまし討ちで監禁や暗殺したりということも多く、相当タフでなければ生き残れなかったようです。
コルテス自身も、もともとはエスパニョーラ島(キューバ島)のディエゴ・ベラスケスに命ぜられて新大陸の探検に向かったのですが、メキシコ湾沿いに新たに作った都市ベラクルスを根城として無断で独立してしまいました。
メキシコを征服したのちも、コルテスを妨害しようとやってきたパンフィロ・ナルバエスと戦い勝利するなど、かなりの修羅場をくぐっています。
メキシコとの戦いでも数度は死の危険にさらされ、頭骨を骨折したり指を失ったりしながらもきわどいところで生きながらえています。
当時の征服者たちの粗暴さ、残酷さはよく知られていますが、このような状況では繊細な神経では生き残れないことでしょう。

一方、コルテスは原住民たちの知性や文化を認めてもいます。
未開の部族しかいなかったエスパニョーラ島と比べると、極めて複雑で高度な文明を持ったアステカは分野によってはスペインを凌駕しているように見えたようです。
レパルティミエント制度のもと、原住民を財産として割り当てられるものと考えるのが一般的であった時代に、相当先見の明があったように思います。
バルトロメ・デ・ラス・カサスが「インディアス史」等で原住民の人権蹂躙を批判するよりもずっと前に、コルテスは彼らの人間性を認めていたこととなります。
実際、アステカを滅ぼしたのもメキシコ人同士の争いをうまく利用したからであり、原住民の思考を理解したことが成功につながったのでしょう。

一方で第4書簡に書かれているホンジュラス遠征は本当に悲惨です。
ユカタン半島の付け根を横断してホンジュラスに至ろうとしたのですが、当地は沼地だらけで道も整備されておらず、スペイン人の大きな武器であった馬を伴った行軍には完全に不向きでした。
結局ユカタン半島の横断には成功したものの、餓死寸前の状態だったためにそこから活動する余力はなく、そのままエスパニョーラ島に既刊せざるを得なかったようです。

本書は相当長いですが、翻訳もよく読みやすいです。
「征服者と新世界」では「サンチアゴ!」といって突撃していたのが、本書ではこの部分が「突撃」と意訳されていたのは面白かったです。
スポンサーサイト
  1. 2017/11/13(月) 21:08:37|
  2. ★★★★★
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mietzsche.blog.fc2.com/tb.php/889-530073e2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad