雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

パリ ―モダニティの首都― 新装版

本書は3部構成になっているのですが、第1部ではルイ・フィリップ、そしてもっとも手厚い第2部はナポレオン3世が権力を握っていた時代、最後の第3部ではパリ・コミューンの崩壊と市街の炎上を扱っています。
それぞれを文学作品に当てはめると、第1部はバルザックの「人間喜劇」、第2部はゾラの「ルーゴン・マッカール叢書」により描かれた時代でした。

本書ではそれぞれの文学作品を引用しつつ、当時のパリがどのような雰囲気にあったかが述べられています。
  • オスマンの都市改造で旧来の路地がとりつぶされ、広大な街路が発生した
  • 地方から労働者が流入して家賃が異常なほど高騰し、周辺区を併合して膨張した
  • 旧来の徒弟制度が崩壊し、単純労働者が増加した
  • 労働者が貧困にあえぎ、女性の多くが売春を生業としていた
  • 鉄道の普及により時間と空間が一気に縮まり、一方で比較的裕福なものも過密な客車で長時間耐えることを余儀なくされた
など、急速にパリはその姿を変えていきました。
このあたりはフランス史に詳しくない私はあまりピンと来ないのですが、複数回の革命は当時の人には印象深く、まさに激動の時代だったのでしょう。

他の諸都市と比較しても「パリ」という都市には特別な何かが備わっているように、多くの人は感じるようです。
それは過去の歴史の重みもあるのですが、19世紀に経験したこの急速な変化にも要因があるのでしょう。
オスマンの時代に完成された街路を保存するため、現在では高層ビルの建設が禁止されています。
これは、家賃の異常な高騰を招いており、「アメリカ大都市の死と生」でも述べられていたとおり町全体がショーウィンドウのように、住むためではなく見るためのものとなってしまいました。
19世紀とは異なった意味において、パリはまた家賃の高騰を経験しています。

とくに第2部ではさまざまな統計資料を用いてパリの実情を分析しており、とても面白いと思いました。
しかし、それ以外の文学作品を援用している部分では、その作品を読んでいないと全く意図が分からず理解が困難です。
とくにバルザックの「従兄ポンス」は複数回言及されており、本書を読む前の段階で知っておくべきものだったようです。
ある程度フランスの文化、歴史、文学についての知識がある人向けの本だと感じました。
スポンサーサイト
  1. 2017/10/16(月) 23:00:53|
  2. ★★★★
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mietzsche.blog.fc2.com/tb.php/886-ed1e53da
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad