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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

むらの日本人―′70年代・東北農民の生き方

40年以上前に出版された本です。
古本屋さんで見つけて購入したのですが、巻末に「日本列島その現実」シリーズの広告が掲載されていてなるほどと思いました。
確かに着眼点としては似ています。

高度経済成長が終わり、農村にも貨幣経済の波が押し寄せてきたころの日本の農村の記録です。
当時は兼業農家、それも農業収入よりもそれ以外の収入のほうが多い第2種兼業農家が顕著に増加しており、これに伴って農村部における平日昼間人口が減少しました。
かつては農村における会合や共同作業には一家の当主たる夫が参加していたものなのですが、その当人が出稼ぎや日帰りの賃労働などによって不在となったため、急速に集落内のつながりが衰退しつつあったようです。
もともとはその家の持つ耕地面積がそのまま経済力、集落内での権威につながっていたのですが、兼業が一般化するにつれて中途半端に広い耕地はむしろ兼業の妨げになってしまうため、「五反百姓」などと言って蔑まれてきた零細農家のほうが身軽で裕福になるという逆転現象も発生しました。
いろいろな意味において旧来の秩序が崩壊しつつあったようです。

本書が出版された当時でも「若い人が出ていく」ことが問題視されていますが、彼らは完全に村から出ていったわけではありません。
若者たちはふるさとを捨ててしまったのではない。
出かせぎ者は、盆正月や農繁期には帰ってくる。
日かせぎの青年たちはサラリーマン並みに毎晩帰宅する。
ここでいう「日かせぎ」とは、通いで土木現場などの賃労働に従事することを指します。
現在ではそもそも若者は農村から遠く離れた都会に完全に住まいを移してしまうので、さらに状況が一歩進んだということになるのでしょう。

従来型の農村秩序は、ある地主が存在してその地主の権威は代が変わっても永続します。
また、家同士の付き合いも長く続くことが想定されており、恩の売りあい、返しあいが延々と続くことになります。
このような共同体においては、メンバーが去ることは可能なのですが、新たによそ者が加わることは本質的に困難な状態です。
そして、これはいまだに続いていると思います。
新参者にとって窮屈な村社会に新たに加わるメリットは少ないため、なすすべもなく過疎化が進行してしまったということでしょう。
あと数世代もすればこのような過去の風習の影響もなくなるのでしょうが…。

当時のムラ社会の特徴がコンパクトにまとまっていて読みやすいです。
最後のほうに若手農家の座談会が掲載されているのですが、最も若い参加者でもまだ存命なら75歳。
彼らは現状についてどう思うかが気になります。
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  1. 2017/08/27(日) 22:37:09|
  2. ★★★★★
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