雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

文明としてのツーリズム―歩く・見る・聞く、そして考える

観光について書かれた本はいくつか読んできましたが、「観光の空間」や「観光のまなざし」のように内容の深いものと、「緑・砂・人」のような単なる旅日記にしか見えないものとの両極端に分かれるような気がします。
これは、観光地に視察に行った結果、著者の過去の何らかの知見と結びついてしっかりと得るものがあった場合と、観光地に行って普通に観光旅行をしてきただけというものの差なのかもしれません。
その意味においては、本書は残念ながら後者に近いです。

本書の「はじめに」では、下記のように著者が紹介されています。
石森修三は、日本でいちばんはじめに観光学(カンコロジア)を提唱しました。
文化人類学的な研究実績だけでなく、観光行政にも大いに関与しています。
高田公理は、社会学の立場から旅や観光を考えてきました。
とくに、情報文明論への展開を試みてきました。
また、神崎宣武は、民俗学の立場から日本人における旅や観光を考えてきました。
しかし残念ながら、私の感じたところでは本書は特にそれらの専門的な視点が活かされたものには見えません。
または、新しそうな理論が提唱されたりしているのですが、これらは検証が全く足りず、説得力のない単なる思い付きのようにしか見えないと思います。
本当に「日本でいちばんはじめに」提唱したのであれば、全く未開の領域に踏み込んだために完成度が低くなってしまったのはやむを得ないのかもしれませんが、それにしても参考文献がほとんど日本語の似たようなものばかりというのはどうかと思います。
現地に行く前の準備、勉強が足りていないのではないでしょうか。

本書の大部分を閉めるのは、三人で一緒に行ったサイパン旅行と海南島、スマトラ島の旅行の記録です。
三人で一緒に行って一緒のものを見たので、当然のことながら別々の著者によって一緒のことが書かれています。
みんなで行って多角的な視点を持つことが重要なのかもしれませんが、慰安旅行に行った後の社内報記事に近いような文章を読んでいると、本当になにか意味があったのか疑問に思ってしまいました。
スポンサーサイト
  1. 2017/08/27(日) 00:10:56|
  2. ★★
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mietzsche.blog.fc2.com/tb.php/878-63fd514b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad