雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

化粧

中上健次は「未完の平成文学史」で知ってから興味を持っていました。
これによると中上健次はフォークナーに影響を受けて、自身の出身地である紀州熊野地方を舞台とした作品を多数執筆し、独特の世界観を作り上げているとのことです。
ちょうど古本屋さんで中上健次の本を見つけたので、ためしに購入してみたものです。

15作品が収められた短編集なのですが、確かにどれも紀州熊野地方を舞台としており、世界観は似通っています。
世界観だけでなく、登場人物もほとんどの作品で重なり合っています。
  • 主人公
    紀州熊野の出身だがその後上京。
    両親は離婚して母親に育てられた。
    大男で柔道や相撲の経験あり。
    結婚して二人の子供が産まれるが、酒を飲んで家庭内暴力をふるうことを繰り返したため、一週間の旅行(または出張)中に妻と子供に逃げられる。
    その後仲人のとりなしで、後述の兄の法事の際に家族と再会。
    鳥を100羽単位で飼っていたが、妻に逃げられたのちにすべて逃がしている。

  • 24歳の3月3日に首をつって自殺。
    少年のころは利発であったが、その後麻薬中毒によると思われる幻覚に苦しむ。

  • 頑強であったが50歳のころに心筋梗塞で倒れてから床がちになる。
  • 友人
    熊野で商売を営み成功しているが、最愛の妻に先立たれている。
主人公のモデルは著者であり、かつ周囲の人物もすべて実在のモデルが存在したと思われます。
基本的には上記のエピソード+αが繰り返し述べられるという印象です。
とくに、主人公の勝手な酒乱の言い訳が多く、このあたりに共感できるか嫌悪感を覚えるかにより本書を楽しめるかどうかが変わるように思います。
私には相性が悪い本でした。

また、著者の日本語の癖として、主語を省略して文章を書くことが多くて解読に苦労しました。
「男」と「彼」がまったく別人を指しているなどの独特の使い分けなどもあります。
高校のころの国語の試験でやや難解な文章の意味を問うものがありましたが、この類のものを思い出しました。
幻想的な雰囲気で夢と現を行ったり来たりする効果があるわけでもなく、著者が単に日本語に無頓着なような印象を受けます。
代表作である「」「枯木灘」「地の果て 至上の時」の三部作を読んだほうがよかったのかもしれません。
スポンサーサイト
  1. 2017/08/16(水) 23:02:46|
  2. ★★★
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mietzsche.blog.fc2.com/tb.php/876-30d8b0a9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad