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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

不屈の青春―ある共産党員の記録

戦前に当局の弾圧で若くして亡くなった無名の共産党員たち10人について取材を行い、その生い立ちや活動を記録に残したものです。
1969年に発行されたものでもちろん現在は絶版状態です。
古本屋さんで見つけて購入しました。

素直に読むと、当時の青年活動家たちの清廉でひたむきな様子が伝わってくる本です。
共産党員たちへの弾圧が厳しかった中でも己の信念を曲げず、拷問にも決して口を割らなかったという超人的な忍耐が礼賛されています。
悲惨な労働条件にあった男女工員の待遇改善のために、勇気と知恵とともに主導した戦いに勝利したことは、彼らにとっては素晴らしかったのだと思います。
また、翼賛体制下で日本にとって都合のよいニュースしか伝えられなかった中でも、鋭くも日本の帝国主義が敗北することを察知していました。
彼らはみな獄中の過酷な扱いがもとで結核などの病気にかかり、20代や30代で亡くなってしまったのは気の毒なことです。

しかし、よく読むと、本書の文中で共産党員のなかでも「○○同志」とか「○○氏」などという呼び方をされている人物と、そのまま名前を呼び捨てにされている人物の二種類が存在することに気づきます。
「同志」や「氏」といった敬称がついている人々は本書執筆当時でもまだ共産党の中で名誉を保っている人物で、呼び捨てにされた人々は当局に逮捕された後転向したり、または思想的に共産党本流と対立して「極左冒険主義」等のレッテルを貼られて追い出された人物です。
そして、共産党活動の中でも不都合な事柄は、これらのすでに党から名誉を失われた人々に責任を押し付けてしまい、現時点で党にいる人々には全く責任がないというような書き方がされています。
言い方を変えると、何か不都合が起きた際にはスケープゴートを仕立ててその人物を失脚させて追い出し、残った人々は無謬であるという論理構成となっています。
(現在の日本の政治家たちが、失言などで罷免されたのちでも再び役職に就く「敗者復活」があるのとは対称的です。)
これはまさに現代の抑圧体制国家で実践されているのとまったく同じ考え方ですし、かつてソ連等でも同様なことが起きていました。
現在役職についている人は無謬なので、過去の問題に対しては知らぬ存ぜぬを通すのです。
これはかつての大日本帝国のファシズムとまったく同じであり、似た者同士が戦っていたようにしか見えません。
共産主義自体がソ連から輸入されたものである以上、性格が似てくるのはやむを得ないのかもしれませんが…。

彼らが極端な貧困に耐えて活動していたというのは本当だと思いますし、それは正義感に基づいたものであったというのも本当だと思います。
しかし、少しでも広い視野を持った者が疑問を呈したとたんにレッテルづけとともに追い出されるというのを繰り返した結果、狂信的な集団に成り下がってしまったのでしょう。
新左翼などもまったく同じ道を歩みましたが、一部の新左翼と共産党が対立していたというのも似た者同士の戦いに見えます。
このような状況下で共産党が一般民衆の支持を長らく獲得できなかったのは当然かと思いました。
個人的には、現代の共産党が必ずしもこのような状況であるとは思わないのですが、過去の闇に対して真摯に向き合っているようにも見えないです。
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  1. 2017/08/12(土) 23:21:51|
  2. ★★★★
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