雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

資源問題の正義―コンゴの紛争資源問題と消費者の責任

コンゴ東部の紛争地帯では、いわゆる「レアアース」と呼ばれる電子部品に使用される鉱物が産出します。
本書では、国軍や武装勢力によって不当に収奪されたレアアースが先進国で販売される製品に使われることにより、間接的に先進国の市民が紛争の継続を手助けしていることになる、という問題について考察しています。

似たような問題としては、シエラレオネなどの「紛争ダイヤモンド」が有名でした。
紛争ダイヤモンドの場合は国連により当該国からのダイヤモンド輸出を禁止したことにより、急速に紛争ダイヤモンドの流通量は低下しました。
しかし、コンゴの「紛争レアアース」についてはそれほど簡単なものではありませんでした。
原因の一つとして、ダイヤモンドと違ってレアアースは最終製品となるまでの工程が長く、かつ他の産地からの原料と混合されることもあるため、最終製品から原産地を追うことが困難だということが挙げられます。
それでも、アップル社などが市民からの追求の結果、原材料の素性にも責任を持つことを宣言して以来、状況は改善に向かっているようです。

そもそも紛争が起きた原因の一つが、隣国ルワンダの内戦でした。
ルワンダから大量の避難民がコンゴ東部に流出した結果、もともと人口の多くなかった当該の地域においてルワンダ系が多数派となり、原住民から見るとよそ者のルワンダ人により地域が乗っ取られたように見えたことでしょう。
また、ルワンダの反政府武装組織も流入して原住民に危害を加えたため、対抗策として地元でも私兵隊が作られました。
これをきっかけに多数の武装勢力が合従連衡を繰り返し、複雑な敵対関係が続いています。
ルワンダ政府の介入(資源収奪も含む)もあり紛争は長期化したのですが、これを見ると当地の人々にとっては反ルワンダ人感情が高まるのはやむを得ないように思います。
避難してきたルワンダ人に非はなくとも、ルワンダ人の流入は原住民にとっては災厄でしかなかったのです。
このあたりは、日本の報道ではルワンダは虐殺から立ち直ったという良い面しか見えてこないので、私もよく知りませんでした。

著者は、日本ではフェアトレード的な消費者意識が低いことを指摘しています。
個人的には、NPO(NGO)に対する信頼感が西欧以外では非常に低いというのも原因の一つだと思います。
捕鯨禁止でもそうなのですが、白人の白人による白人のための独りよがりな善意がいつの間にか国際社会の合意とされてしまい、白人以外に押し付けられているように感じているのではないでしょうか?
実際、NGOや市民運動について、日本では自己満足的な「うさんくささ」を感じる人が多いように思います。
このあたりは強者たる西欧市民には理解しづらいことかもしれませんが。

それほど文章が多いわけではないですが、内容はとても充実しています。
単にコンゴの現状を述べるだけではなく、なぜレアアースの問題が長期間放置されていたかや、単にレアアースを禁輸すればよいというものではないことなど、詳細に述べられています。
本書の冒頭正義論に関する理論的な話から始まったのには、少しびっくりしましたが…。
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  1. 2017/07/02(日) 23:11:14|
  2. ★★★★★
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