雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

闇の奥

崩れゆく絆」の著者のアチェベが本作を激しく批判していたというのを聞いて興味を持ったものです。
コンラッドはかつて読んだ「ロード・ジム」があまり面白くなかったのでちょっと心配だったのですが…。

イギリスの港で出港を待つ船乗りが、かつて経験したアフリカ奥地での体験について述べる、という形式の小説です。
解説文によると当時はアフリカについて書かれた冒険物語や旅行記が出回っており、アフリカはどちらかというとわくわくする発見の舞台としてとらえられていました。
しかし、本作ではアフリカは底なしの「闇」であり、うっかり入り込んだものがとりこまれて帰ってこれなくなるような場所として描かれています。
それを反映するかのように、物語自体も特にこれといった終わりはなく、語り手はなんとか無事に帰還しますがその話す内容に教訓などはありません。
単に、アフリカの奥地で象牙の魅力に取りつかれたものが、現地人たちを召使のように従えて当地で死んだというだけの話です。

歴史的には、このような不条理ともいえる小説が登場したこと自体には意義があるのでしょうが、現代にこれを読む意味があるのはよくわかりません。
ただ、アチェベが本作を「人種差別的だ」と批判したのはやや不当なように思います。
時代背景からも、コンラッドが人種差別的な思想を持っていたことはやむを得ず、むしろ当時としてはまだ公平な方だったように思います。
「源氏物語」を女性差別的だといって批判するのと似ているように思います。
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  1. 2017/06/26(月) 23:11:20|
  2. ★★★
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