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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

GMとともに

1920年代、草創期のGM(ゼネラルモーターズ)で社長になり、その後30年以上にわたって社長と会長を務めたスローンによる社史のような書物です。
オンリー・イエスタデイ」において当時のアメリカが詳細に描写されていましたが、当時はGM社だけでなく自動車業界全体が草創期でした。
多数の自動車メーカーが乱立したのですが、1920年代初めにはまだ自動車はぜいたく品であり、しかも昔ながらの馬車の形を受け継いだオープンボディが基本でした。
一方でフォード車がT型を大量生産することにより、徐々に一般大衆にも自動車が広がりつつあり、1930年には自動車は中産階級の人々にとっても普通のものとなったようです。
フォード車がT型一種に絞り込んで規模の経済で超低コストの自動車を作ったのに対し、GMは大量の自動車会社を無軌道に買収し続けた結果、高級車から低級車まで幅広いラインナップをそろえることになったのですが、一方で自社内ブランドで競合するという事態も発生したのです。
そのうえ、多額の買収資金により経営難に陥った結果、実質的な創業者が放逐され、その後数年を経て社長に就任したのがスローンです。

スローンが社長に就任した当時は、各車種で分かれていた事業部間の連携が全く取れておらず、どの事業部がどの程度在庫を持っていて、どの程度金を使っているかすらわからない状態でした。
本社機構の統制が全く働いていなかったのです。
そのような状況で、事業部制度の分権的な利点を生かしつつも、本社が状態を把握して重大な決断を行うという、ある意味相反するバランスをとる経営を目指すさまが詳細に述べられています。
また、どこの会社でもあり得る研究機構と事業部との対立も鮮明でした。
とくに、水冷エンジンに代わる革新的な技術として期待された銅のフィンを付けた空冷型エンジンについては、次世代モデルへの採用が決定されながらも、結局は所定の信頼性を満たせずに実用化されませんでした。
この過程で発生した軋轢はGMの開発組織の危機だったのですが、これも組織間の調整を適切に行うことで切り抜けたようです。

一方で、当然のことながらGMについては基本的に良いことしか書かれていません。
世界最大級の企業にまで成長したのですがGMそのものが失敗であったわけはないのですが、いいことばかりが書かれているとやや信頼性が低下するような印象も受けます。
その後、さまざまな要因が重なってGMは凋落し、いったんは倒産状態となりました。
まだGMが健在であったころにGMの問題点について書かれた「晴れた日にはGMが見える」も読んでみたいと思います。
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  1. 2017/06/17(土) 10:19:10|
  2. ★★★★
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