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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

日本石炭産業の戦後史

少し前に読んだ「昭和ノスタルジアとは何か」で、映画「フラガール」が取り上げられていました。
これは本業である炭鉱業務が不振に陥った常磐炭鉱がレジャー産業に主軸を移したことを題材にした映画です。
炭鉱の女性従業員たちが、人生で全く未経験のフラダンスを学んでハワイアンセンターの中核を担うというものなのですが、「昭和ノスタルジアとは何か」では実際の常磐炭鉱では映画では描かれなかったような切実な失業が発生したことが指摘されていました。
かなり前に住友石炭鉱業の社史を読んだことはあるものの、日本の石炭産業についてよく知らないことに改めて気づき、本屋さんで本書を見つけて購入して見たものです。

私は日本の石炭産業が衰退したのは、石炭から石油へのエネルギーシフトが起きたためである、という程度のぼんやりした印象しかなかったのですが、本書を読むとそれだけではなく鉱山の労務管理にも大きな問題があったと指摘されています。
労働者と会社側が敵対的な関係を解消できずにストライキ等で疲弊し、かつ会社側が労働者の待遇について主導権を失ったために労働者の勤労に対するインセンティブが失われてコスト高に陥ったとのことです。
炭鉱労働者には「標準作業量(標作)」というものが定められており、これを超過した生産が行われれば手当がつく、というのが一般的だったようですが、機械化によりこの標準作業量の見直しが必要になります。
しかし、労組から見ると安易な見直しは労働強化につながるために受けいれることができません。
しかも、戦後の人不足を背景に実質的な賃上げが続き、国際的な競争力を失ってしまいました。

ただ、読んでいて感じたのは、石炭という原料そのものの不利さです。
蒸留による精製が可能な石油とは異なり、石炭はそのような手法は使用できません。
そのため、掘り出したうちのある量は品質が悪く使用できないことになります。
硫黄分の多い石炭は公害問題がクローズアップされる中で行き場を失ったさまが述べられていましたが、これもやむを得ないことだろうなと思います。
多くの化学技術は溶液に溶かしたり、または溶融させたりして液体の形で操作するものであるため、固体原料で溶剤に溶かすことも不可能な石炭は、原料としては使い勝手が悪いのでしょう。

本書では十分な説明なしで採掘に使われる用具の名前などが登場するので、私のような一般人は読んでいてもよく理解できない箇所が多いです。
博士論文を書籍化したとのことですが、書籍化にあたって一般の人への配慮がされているかと言われれば、それは不十分だと思います。
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  1. 2017/06/11(日) 22:26:08|
  2. ★★★
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