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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

警視庁草紙

明治ひとけた年代の日本を舞台に、新生日本を目指して抑圧的なやり方を持って治安維持を図る警視庁と、徳川の世に同情的な引退奉行の頭脳戦が描かれます。
佐賀の乱、神風連の乱、西南戦争など、実際にあった九州の騒乱を背景として、旧体制の文化から抜けることのできない人々は寂しく消え去っていきます。
初代大警視(警視総監)の川路は冷徹に彼らを切り捨てようとしますが、引退奉行はそうした人々に対して温かみを持った視線を送り、なんとか法の目を抜けて救い出そうとします。
巨大権力に対して、一介の庶民になり下がった老人が立ち向かうという、やや判官贔屓的なお話です。

全く関係のない話ですが、「ドカベン プロ野球編」という野球漫画を思い出しました。
高校野球のヒーローであったドカベンこと山田太郎や、そのチームメイト、ライバルたちが実在のプロ野球団に入って大活躍するというものです。
実在の人物も多数登場するのですが、多くの場合ドカベンなどの架空の選手たちによって抑えられてしまいます。
当然ながら、実在の人物の能力には限界があるのに対し、物語の上ではキャラクターにはどのような超人的な能力も付与できるのです。
本書も、井上馨、大久保利通から、清水次郎長、唐人お吉などの裏社会の人々、そして江藤新平や西郷隆盛、永岡敬次郎などの反体制の人々など、実在の人物が多数登場します。
しかし、引退奉行のやや超人的な頭脳、そしてその部下の元同心、元岡っ引の腕っぷしにはかないません。
大警視の川路もその意味においては実在の人物ですが、彼に限ってはフィクションの域までその能力が高められています。
物語だからそういうものだと言われてしまえば、それまでですが…。

エンターテインメントとしてもやや冗長で、個人的には中途半端な印象を受けました。
「山田風太郎明治小説全集」としてこれ以外の作品もまとめられているのですが、読むのは見合わせようと思います。
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  1. 2017/05/21(日) 18:30:39|
  2. ★★★
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

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