雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

中国第二の大陸 アフリカ:一〇〇万の移民が築く新たな帝国

アメリカや日本が主導するアジア開発銀行(ADB)に対抗して、中国主導でアジアインフラ投資銀行(AIIB)が設立されました。
AIIBはADBに比べて手続きが簡単で、かつ資金を得る際の制限も少ないのが売りだそうです。
これはまさに中国らしいやり方だと思います。
日本や西洋の企業が他の国でビジネスをする際には、表向きの決まりを順守しようとします。
たとえば、現地の高官にわいろを贈ったり、不法な方法で資源を得たりすることは、まったくないとは言わないまでもここ最近ではかなり少なくなっています。
一方で、中国企業はそのあたりの順法意識は極めて低いです(著作権、特許権をまったく尊重しないこともその表れでしょう)。
アフリカのような抑圧的、非民主的な国々の多い地域では、中国的なやり方はとても有利なのだと思います。

本書では、アフリカにわたって成功しようとするたくさんの中国人が紹介されています。
その多くは、中国本国の発展に乗り遅れて、上昇の機会をつかみ損ねたような人たちです。
アフリカにわたった中国人の多くは、現地人に対する差別意識を隠そうとせずに当地の労働法で定められているよりも低い賃金で労働者を酷使します。
現地の政府にとっては、中国は公式、非公式両方の手段で大量の資産を提供してくれる上に、壊滅的な失業率を多少なりとも改善してくれるために、中国がどんな不法なことをしようとも苦情を言うことができない状態にあります。
結局は、現地の一部のエリートの蓄財に役に立つだけであり、長期的な視野ではあまりプラスにならないと予想されます。
中国人は否定しますが、やり方はかつての西洋諸国による植民地化とほぼ類似だともいえます。
中国は「友好的パートナーシップ」や「兄弟国として開発への道をともに歩む」などといった、独特の謳い文句を掲げてアフリカへやってきた。
極めつきは「ウィン・ウィン」だ。
これは麻酔効果のあるキャッチフレーズで、中国が手がけるほぼすべての事業に用いられる。
(中略)
中国はあれほど非難してきた西欧の父権主義ときっぱり手を切ったわけではなく、むしろ別のかたちの独自の父権主義を持ち込んでいるのだ。
アフリカ人は中国人の兄弟ではない。
まったく違う。
兄弟の結びつきと喧伝しながら、中国人高官たちは、アフリカ人はよちよち歩きの子どもで、甘い誘いや幼児語を使えばこちらの思いどおりになると思っている。
「思っている」というのは実際にそうなのだと思います。
行政全体が腐敗しているために、優秀なアフリカ人は国外に去り、ますます無能な官僚が残って腐敗が進行するのでしょう。
国家の資源を切り売りして一部の特権階級の蓄財のもととなり、近い将来には国民には何も残らない、ということもあり得ると思います。
こういった場所におけるビジネスでは、順法意識の薄い中国は非常に強いのだと思います。

本書は西洋人が書いたものであり、やや西洋白人的な押し付けがましさを感じるところも多いです。
しかし、英語以外に中国語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語を操る著者が実際に現地で見てきたことを書いているだけあり、内容は信頼できるものだと思いました。
表紙の写真はギニアビサウのものなのですが、本書ではギニアビサウについてまったく触れられていないので、ちょっとどうかと思いましたが…。
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  1. 2017/05/04(木) 23:26:56|
  2. ★★★★★
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