雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

チャベス政権下のベネズエラ

1998年のベネズエラ大統領選挙においては、チャベスは当初は泡沫候補扱いでした。
しかしながら既存の政党への不信を背景に急速に支持を伸ばしたチャベスは勝利し、その後2013年の病死にいたるまで政権の座を維持し続けました。
現在もチャベスの後継者として、基本的にはチャベス路線を踏襲したマドゥロが大統領を務めています。
一方で近年のベネズエラは急速に権威主義の色を深めており、薬品や食料品などの生活必需品の欠乏が深刻化しています。
石油という強力な地下資源がありながらなぜこうなってしまったのか、本書ではチャベス大統領の政治運営について分析されています。

ベネズエラにとって最も大きな不幸は、2002年4月の政変で一時チャベスが政権を追われた際に、アメリカが反チャベスのカルモナ政権を性急に承認してしまったことにあるようです。
その後、わずか2日でチャベスは群衆の歓呼の声のなか政権に復帰するのですが、これによりベネズエラは反米政策を取らざるを得なくなりました。
アメリカにとっても南米の地域大国を強力な反米、親キューバに導いたことになり、ブッシュ元大統領の数ある失政の中の一つとも考えられます。
一方、2000年代後半には原油価格が大幅に高騰したため、ベネズエラは運の良いことに大量の資金を入手することができました。
オイルマネーを背景に気前よく「ミシオン」と呼ばれる緊急プロジェクトを実施することでかろうじて社会経済のひずみを抑えてきたのが、昨今の原油価格低迷でカバーしきれなくなったというのが実情のようです。

特にひどいのが、食料品などの価格統制でした。
貧困層にとって食料品などが入手困難なのは、投機筋が不当に価格を釣り上げているからであるとして、食料品価格の上限を設定して安く売ることを強制したのです。
その結果、食料品の生産コストが販売価格を下回り、食料品の生産量が激減し、ますます食料品が入手できなくなったというものです。
チャベス個人に権力が集まり縁故による採用が蔓延した結果、経済に無知な人物が要職についてこのような判断を行ったのでしょう。
国としてはほぼ崩壊しつつあるといえます。

現在、ベネズエラからは人材も資本も急速に流出しつつあります。
これは末期にある独裁国家にありがちなことですが、このままではベネズエラも同じ道をたどるのだと思います。
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  1. 2017/05/02(火) 19:03:38|
  2. ★★★★
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