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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

レ・ミゼラブル

以前読んだ「ルーゴン・マッカール叢書」が面白かったので、同じフランスの小説でもやや時代が遡った本書を読んでみようと思っていました。
本書では1832のパリ六月暴動の場面でクライマックスを迎えますが、「ルーゴン・マッカール叢書」の「壊滅」は1871年のパリ・コミューンがクライマックスです。
六月暴動は数日で鎮圧されたのに対し、パリ・コミューンは2か月持ちこたえたという違いはありながらも、結末がよく似ており、ゾラが「レ・ミゼラブル」を意識していた可能性はとても強いように思います。

本書はまだ今のような小説のエンターテインメントとしての作法が定まっていなかったのか、ところどころ著者の政治的意見がさしはさまれています。
そもそも著者のユゴーが政治家として失脚して亡命生活を送っている最中に書かれた小説だということもあり、明らかな政治的な意図が感じられます。
そのため、小説の本筋から大きく外れて現代の世相を著者なりに評論した箇所が長々と続くことが多く、はっきり言えばこれらの場面は読むのが苦痛なことが多いです。
とくに序盤のワーテルローの戦いの箇所は、膨大な量の描写が本筋との関連を明らかにしないまま延々と続き、いったい自分は何を読んでいるのかよくわからなくなってしまいます。
現代の視点からエンターテインメントとして読むと、完全に失格だと思います。

現在でも名だたる批評家が、この迷路のような小説を高く評価しているのですが、なにやら難しそうなものを持ち上げるような風潮を感じなくもありません。
物語の本筋自体は面白く、悲惨な人生の末の後半生に聖人として生きるジャン・ヴァルジャンをはじめとして、パリの最下層で生きる様々な人たちが生き生きと描かれています。
それだけに、あまり関係のないように見える箇所を読むのがよけい苦痛に思えるのですが…。

普通に考えると、本書を読む意味はあまりなく、たくさん出版されているダイジェスト版を読めば十分でしょう。
研究者などは本書を読むといいのでしょうが、そういった人は日本語訳を読むくらいなら原書をよめばいいとも思います。
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  1. 2017/03/29(水) 11:51:31|
  2. ★★★
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  4. | コメント:0

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