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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

巡礼と文明

古本屋さんで見つけた本です。
「宗教文明叢書」なるシリーズの一冊目なのですが、中に収められている文章は玉石混交です。
もっとはっきり言えば、石だらけです。
よくこれを学術書として出版できたものだと思います。

以前読んだ「緑・砂・人」でも感じたことなのですが、ある程度身分の確立した人だったら単なる観光旅行の記録であってもちゃんとした体裁で出版できるものなのですね。
本書の最後に収められている文章の著者は、当時の聖心女子大学キリスト教文化研究所室長なる肩書を持った方なのですが、内容は(おそらくは公費で)なんどか月単位の海外旅行に行った感想文でした。
このような文章が一つだけではなく、本書に収められている中の三分の一程度を占めています。
本につけられた「巡礼と文明」というタイトルがかなり立派だったので少し期待していたのですが、この内容だったら定年退職後の楽しみに自費出版する程度のものだと思います。

本書に収められている文章のもう一つの典型例は、キリスト教神学者がキリスト教の正しさを無条件に認めたうえで、現実世界をどうキリスト教的に解釈するかというものです。
これは、うまく著者のスタンスをつかまないと、文章を読んでいても明らかに証明できていない内容を無造作に前提していて、とても混乱します。
これはこれで、キリスト教世界にどっぷりつかった人には良いのでしょうが、私のような俗世間に生きるものが読んでも得るものが少ないですね…。
このタイプの文章もやはり、本書に収められているうちの三分の一程度を占めていました。

よって、残りの三分の一が、まともに読む価値のあるものです。
奇矯なふるまいと派手な女関係で有名な花山上皇が、西国巡りの祖と言われるようになった原因について推察した文章や、メキシコのグアダルーペ巡礼が国家の統制を受けることにより宗教活動全体が管理的になった話などは、読んでいても妥当性の有無はともかくとして面白かったです。
ただ、やはりまともな文章の割合が少なすぎて、ちょっとこの本を読んでいて楽しかったとはいいがたいですね…。
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  1. 2017/03/19(日) 18:46:45|
  2. ★★
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