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雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

東方諸国記

ほぼ50年前に出版された「大航海時代叢書」シリーズです。
箱なしで古本屋価格300円でした。

著者のピレスは1510年代にインドやマラッカで商館員として働いたのち、当時の明国に使節として派遣されたという経歴を持ちます。
インド航路を開いたヴァスコ・ダ・ガマが帰国したのが1499年なので、まだ当時はアジアの地はほとんど未知の状態でした。
ペドロ・アルヴァレス・カブラルや、アフォンソ・デ・アルブケルケなどの初期の征服者が次々と現地の王朝に対して戦争を仕掛けていた時代です。
ピレス自身は広州までは到着したのですが、そのころにポルトガルと中国の関係が悪化したため、広州から移動できなくなりそのまま没したという説が有力です。
本書はピレスがマラッカに滞在していた際に書かれたものなので、中国に関する記事は伝聞に過ぎません。
それよりもマラッカやスマトラ、ジャワといった自らが商館員として情報を入手した地域に関する記述が厚く、とくにマラッカ王国(マレー半島からスマトラ島中北部にかけてを支配)については最後の章で詳しい歴史が述べられています。
当時のマラッカ王国は現在でも信頼に値する文献がないため、本書はその意味においても貴重だとのことです。

本書は未完成稿とのことで、まとまりがなくわかりづらいです。
一応紅海からパキスタン、インド、セイロン、インドシナ、そして琉球や日本までが取り扱われていますが、ほとんどの区域は事実の羅列が多く、著者の感想らしきものはほとんどありません。
そのため、無味乾燥でそれほど面白いものではないかもしれませんし、その割には膨大な量なので読みとおすにはそれなりの気合がいります。
それでも当時のポルトガル人にとってのアジアというものがとても良くわかります。

とくに驚いたであろうと想像されるのが、インドからスマトラ島で行われていたサティ(寡婦殉死)の慣習です。
これは夫を失った妻が、その葬式において着飾ったうえで火に自らの体を投じて自殺するというものです。
おそらくは、来世でも夫に仕えるとかそういう意味を持っていたのでしょう。
絵画的にはいくらでも美しくできるのでしょうが、肉が焼けるにおいと、おそらくは苦しみの声、そして燃え上がる肉体が見えて地獄のような状況だったと推測されます。

本書は通読するものとしてはやや体裁が整っておらず、資料的価値のほうが高いのかもしれません。
かなり早期のものなので、多くの箇所で情報が細切れなのはやむを得ないところですが。
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  1. 2017/03/12(日) 17:41:46|
  2. ★★★
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  4. | コメント:0

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