雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

家庭の幸福、帰去来 、彼は昔の彼ならず、花燭、風の便り、駈込み訴え、鴎

あいうえお順に読んでいる太宰治の作品です。
「か」で始まる作品のうち、ある程度分量のあるものを青空文庫で見つけて読んだものです。

「家庭の幸福」「彼は昔の彼ならず」「鴎」の三作品は、正直言ってあまり印象に残りませんでした。
煮え切らない男の内面の葛藤を延々と述べたような作品。
主人公は往々にして小説家だったり、または定職についていなかったりします。
太宰治はこの手の主人公を書くのが一番得意だったのかもしれません。

「帰去来」は「津軽」と似た帰郷の物語です。
長らく帰郷せずに絶縁同様の実家を久々に訪れ、記憶に比べてはるかに老いてしまった母親やなじみの人々と会う、というものです。
これはある程度は著者の体験をもとにしたものでしょう。
どんなに若々しかったり、頑強に見えたりする人でも老いるのだという現実を目の当たりにさせられます。

この中では「駈込み訴え」が一番有名なのでしょうか。
私も学生のころ教科書で読んだような覚えがあります。
ユダがイエス・キリストを売り渡す場面。
いかにユダがイエスを愛していて、しかも彼の愛が報いられないかを切々と訴えかけます。
今ふうに言えば完全なる「ヤンデレ」です。
愛するあまりにその対象を滅ぼしてしまいたくなるというねじれた感情。
これを高校の教科書に掲載するというのは、またかなり思い切ったことだったのだと今更ながら思います。

この中で最も面白かったのは「風の便り」です。
中堅作家と重鎮との文通。
中堅作家のほうは太宰治の作品らしいいじけた性格ながらも、その作品は評価されているようです。
その中堅作家の迂遠な内容の長文に対してそれなりにやさしく対応する重鎮。
結局著者が表現したかったことがよくわからないながらも、心が通じ合っていることだけは感じられる不思議な作品です。
スポンサーサイト
  1. 2017/02/28(火) 22:22:59|
  2. ★★★★
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mietzsche.blog.fc2.com/tb.php/840-daae3ce2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad