雑記+ブックレビュー

書評というほどのものはありません。読んだ本に絡めて、日々思うことなどを書いていこうと思います。

ブラック・シオニズム―アフリカ帰還の夢と現実

古本屋さんで見つけて購入しました。
私にとっては初見でしたが、かなり有名な本だそうです。

奴隷貿易でアメリカ大陸に連れてこられた黒人の子孫による、アフリカへの「帰郷」に関して述べられています。
もともとは自分たちのルーツであるアフリカ大陸にユートピア的なロマンを抱いての帰郷でしたが、現実はそれほど簡単なものではありませんでした。
ヨーロッパからアメリカ大陸への移民と同様、最も早くに移り住んだ人々の多くは亡くなり、残った人々は内輪もめや原住民との闘いに明け暮れました。
移民の側では同じ「黒人」ということで勝手に同朋意識を持っていたのですが、現地の黒人から見ると領地を奪いに来た外敵でしかなかったのです。

その後リベリアでは、アメリカから来た黒人が、かつての植民地における白人のような「貴族」としてふるまい、現地の黒人を搾取するという構図が出来上がります。
「アメリコ・ライベリアン」と称する黒人貴族たちは複数人の原住民を召使として使役し、あらゆる場所で汚職が蔓延する破たん国家が完成しました。
このあたりはまさに「アフリカの内幕」でも読んだ通りの内容です。
本書が書かれたのは1977年でしたが、その後リベリアはアメリコ・ライベリアンの圧政への反発からクーデターが発生、トルバート大統領が殺害されたうえに、クーデターの首謀者である次のドゥ大統領もまた暗殺されるなど、完全に崩壊してしまいました。
本書に登場していた人々の多くも、内戦の影響で生活が困難になったのだと推測されます。

それ以外にも多くの問題が指摘されていますが、その中の一つがアフリカ出身の黒人と結婚してアフリカに移り住んだ、アメリカ大陸出身の黒人女性です。
日本でも、都会出身の女性が結婚して夫の地元である田舎に移り住んだ結果、問題が発生することがありますが、それと全く同じ状況です。
本書で述べられているのは主にリベリアやシエラレオネという西アフリカの諸国ですが、これらの国々では大家族制や一夫多妻制が(本書が発行された当時には)まだ常識として残っており、先進的なアメリカ大陸出身の女性から見ると我慢できない状況でした。
大家族においては、親戚の収入は家族全体の収入であり、アメリカ帰りのエリートたる親戚は金持ちなのだから彼らを養うことは当然なのです。
また、親類が勝手に家に入り込むのも当然の権利であり、嫁は夫とその親類の奴隷として働くのも当然なのです。
これはロマンチックな「未開人」のイメージではなく、現実にありうる閉鎖的な田舎社会とどう付き合っていくかの問題ですね…。

イスラエルでもそうなのですが、無理やりに大量の人を植民すると必ずひずみがうまれるという好例です。
アフリカに夢を抱いた人の多くが幻滅してアメリカに帰っていったというのも、やむを得ないことだと思います。
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  1. 2017/02/26(日) 22:34:43|
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